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レビュアー: 竜胆

 不思議な町は不思議すぎた,  2008/02/15 金曜日 13:49:15 JST

平均
4.0
操作性
4.0
映像
4.0
音楽
4.0
独創性
4.0
満足度
4.0
ストーリーを進めながら、町の人たちが出すナゾを解いていくアドベンチャー・パズル。本編をプレイしながら解いたナゾは115/120。それでも10時間かからずに終わってしまった。私はパズル好きというわけでも得意というわけでもないのだが、古典的なパズルが結構収録されていることと、監修した多湖氏の『頭の体操』がベストセラーだということもあって、プレイ以前にどこかで見たり誰かが出題したりして体験したことのある問題の割合が多かった。おかげでコインは集めることに意義があり、使うことにはほとんど意義がなかった。多湖氏の監修はそういう面ではデメリットもあるが、理不尽な問題の比重を下げるという面ではとても意味があったと思う。少なくとも、種明かし後に「そんなの、考えてもわかんねぇよ!」と切れるような問題はなかった。

<ストーリー>
ストーリーは英国紳士とその助手という組み合わせで、どうしてもロンドンを舞台とした名作推理小説を思い描いてしまうのだが、結構非現実的な展開や設定も多く、このあたりはプレイ前の先入観とズレが大きかった。唐突にうるさい悪役が登場するところなんかは、やわらかいタッチのグラフィックが共通する『ポポロクロイス』シリーズを懐かしく思い出してしまった。話の内容も引き込まれるものではなかったが、行く先々のナゾが単なる障害に成り下がることを防いでくれるという点では機能していた。

<システム>
なぞなぞ的な小問がいくつも収録されているゲームだが、幹となるストーリーが1本続いているので、どうしてもそれに引っ張られて延々と解き進めることになる。『脳トレ』のように、毎日空いた時間に少しずつというわけにはいかず、このへんは少しもったいない気もする。長時間いっきに遊んでしまうほど、上記のパターンへの慣れも生じてしまう。かといって小問だけがシステマティックに収録されていては味気ないわけで、どうにも仕方ない部分か。ストーリーも引き込まれるような話ではないが、ドキドキと先が気になる展開では、途中の小問が障害物としか認識されなくなってしまうのだから、これもまた妥当なところに落とし込めているのだろう。ストーリーの進みに応じて部品やジグソーパズルのピースが集まっていき、全部揃った段階で組み立てる楽しみがあったのはよかった。ストーリーの進行状況が、こういう目に見えるかたちで分かるというのは、小さくとも達成感に繋がる要素だと思う。このあたりも、作りが丁寧だなと感じることができた。

<グラフィック>
グラフィックは、背景と要所要所にカットインされるムービーともに丁寧な描きこみで好印象。ヒント表示に利用するコイン収集は、最初はそれっぽいところに隠されているのでクリックする楽しみもある。しかし途中からは道端など画像的に特徴のないところにも隠れているので、画面全体をクリックしまくることになってしまい作業化してしまうのは残念。

<操作>
操作はほとんどタッチパネルのみで、下手にボタンに機能が割り振られることもなく快適だった。もっとも肝心のナゾ解きの際にタッチパネルの反応がいまひとつ精度がよろしくなく(これは続編「悪魔の箱」ではかなり改善されたようではあるが)、正解の部分を指摘しているにもかかわらず、不正解になって戸惑うことが何度かあった。

<おまけ問題>
Wi-Fi通信を利用して50問近く問題をダウンロードできること、また本編を進めるごとに解除されるおまけ問題がそこそこ残っていることもあり、クリアしてからもしばらくは遊べそう。クリア直前の時点ではコストパフォーマンス的にはどうかなとも思っていたのだが、クリア後におまけ問題がこれだけ残されるのなら杞憂だったかな。

<音声>
メインが専業の声優じゃないキャスティングだが、これはホンワカとした雰囲気に合っていて違和感は感じなかった。

<まとめ>
ストーリーに魅力は乏しかったが、ゲームとしては空き時間をフル活用していっきに遊んでしまったので、それなりに楽しんだということになる。パズルは好きだけど、パズル本などを買ってきて読むまでには至らない、そのくらいの層が一番楽しめそう。
レビュアーインフォ
プレイ時間: 10
難易度: 普通
クリアの有無: クリア済
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最終更新: 2008/02/15 金曜日 13:52:22 JST



 カードヒーローの完成型,  2008/02/14 木曜日 11:12:01 JST

平均
3.8
操作性
4.0
映像
3.0
音楽
4.0
独創性
4.0
満足度
4.0
Wi-Fi対戦だけで500対戦以上しているので(そのうち400対戦近くはスピードバトル)、プレイ時間は100時間を超えていると思うが、ストーリーモードはとりあえずのエンディングを迎えたあたりまでしか進めていない段階でのインプレッション。

<テキスト>
最初にひらがなのみの表示か、漢字かな混じり表示かを選択できるようになっている。私は漢字かな混じり文を選択したが、ひらがなを選択すると全てひらがな表記になるのだろうか。テキストが2倍用意されているなら、低年齢層フォローに手間をかけたもんだ。

<ストーリーとグラフィック>
カードゲームやボードゲームのストーリーというのは、ハラハラドキドキで先の読めない展開や、驚愕の真相が明らかになるドンデン返しなどは期待できないものが多い。『カードヒーロー』も例に漏れず、ルールを覚えるための流れに徹したものとなっている。もっとも、センターで同じ対戦相手とバトルするたびに会話内容が変化していくなど、工夫が凝らされているので単なる作業以上には楽しめる。変なキャラ多いし。一条先輩は開発者や前作プレイヤーの代弁者だね。セリフに共感できてしまって笑える。グラフィックは、人物・カード問わず垢抜けて全体的に見やすくなった。そのぶん個性は薄れてしまったかな?

<効果音>
効果音はなかなか頑張っているのではないだろうか。鎧のガシャガシャいう音や、鳥の羽ばたき、ビームや刀の音など、そのカードのキャラが出しそうな効果音が多数収録されていて、キャラの個性付けや呼び出す楽しさの向上に貢献している。

<スピードバトル>
正式なルールは覚えるのが面倒で対戦するのも時間がかかるというデメリットがあったが、これを克服するために「スピードバトル」という新たなルールが追加されている。1ゲーム5分ほど(先攻と後攻なら10分弱)で決着が付くので、ちょっとした空き時間にも対戦できるのがいい。ルールは単純化されているが、デッキの組み方によって幅広い戦い方ができるようになっていて好印象。ルールはストーリー上で手取り足取り丁寧に教えてくれるので、操作方法やパラメータなどの見方で悩むことはなかった。

<CPU戦>
センターモールでの対戦相手(Wi-Fi通信ができない環境では、ここでのCPU対戦がゲームのメインになる)は、各クラスごとに結構な人数が用意されているし、それぞれが個性的なのでなかなか楽しませてくれる。通信環境がない人が、CPU対戦だけで味気ないと感じてしまうことを防いでいる。

<Wi-Fi通信対戦>
楽しい。トレーディングカードゲームは「新しいカードを買う」→「デッキを組み直す」→「対戦」というサイクルが面白いわけで、確かにCPU相手でもこのサイクルをそれなりに楽しめるのだが、相手が人間だと格段に面白さが上がる。新しいカードを買うたびに、根拠なく「おぉ、このカードを入れたら勝ちまくりじゃね?」とワクワクして対戦できる。相手が思考中の時間さえ、何を考えているのかを読む楽しさがある(それが当たっていることは、かなり稀だとしても)。

負けてもポイントをもらえるので、途中でブチ切りに合う率も下がるし、回線を切られた(あるいは切れてしまった)場合にはコンピュータがその状態から引き継いで相手をしてくれるので、自分の構築したフィールドも無駄にしなくて済むうえに、しっかりポイントをゲットできる。

<対戦人口の分散>
問題は、Wi-Fi対戦でもルールが4つに分かれていること。Wi-Fi対戦の相手を探すのが難しい要因になってしまっている。それぞれのルールが、レアカードを使う人か使わない人かで2分割されているので、対戦相手が4×2で8つに割れてしまう。ジュニアルールとシニアルールはあまり差がないことでもあるし、通信対戦に限ってはスピード・シニア・プロの3区分(x2の6分割)で十分じゃないだろうか。あるいは、人が多いルールとそうじゃないルールを、混雑具合でアイコンで表示してくれるとか…。DSにそこまで求めるのは酷なのかな。

あとジュニアルールでの対戦だが、思っていたとおり速攻でマスターを葬る単調な試合展開になってしまうことが多い。デッキ内容やプレイヤーの技量の差がスピードバトルより如実に現れてしまうので、Wi-Fi対戦が可能になってすぐジュニアルールで戦うとつまらないかも。

なんだかんだいっても、とにかくとにかくWi-Fiで手軽に対戦できるようになったのはとにかーく嬉しい。ようやくこのゲームの本領発揮。いまいち使い方のわからないカードなんかを、巧みに使いこなしているプレイヤーを観る驚き。自分が負けても楽しくなってしまう。Wi-Fi使えるから最低限でいいでしょ、ってことなのかもしれないが、コンピュータは前作よりマヌケなことするようになってるような気も。

<ボイスチャット>
問題なく利用できた。たまに途切れ途切れになってしまうことはあるものの、対戦中のほとんどの時間を相手プレイヤーと話しながらプレイできるのはいい。

<コインの表裏には偏りがあるような>
ところで通信対戦は、CPU対戦のように先攻と後攻を入れ替えて先に2勝したほうではなく、出たとこ勝負の1試合制。先攻と後攻では1手差ができてしまうので、せめて同一の相手と連戦する際には先攻後攻が入れ替わるシステムだとよかったように思う。同じ相手に何度も何度も挑んで、ことごとく最初のコインが裏面で後攻になってしまうということがよくあった。特に私の場合、裏の出る率が8割近いので(変数がおかしいのか?)、延々と後攻が続いてしまうことになった。まあコインの表が出ても、対人対戦ではすんなり勝たせてくれないわけだが。みんな1手も無駄にせず、ほんと強いよね。

<対戦相手のグラフィック>
フリーバトルで、グラフィックが決まったものしかなくデッキ名がプレイヤー名と同一になっちゃってるのは、少し残念なところ。タッチパネルなんだし、自キャラのアイコンとか作れたら面白かったのに。デッキ名も、ちゃんと表示されるならフリーバトルでも受け狙いとかできて殺伐としない…かもしれないよね。

<カードの購入>
カードを購入したときに、パックを切る動作が1手順必要な演出がいい。毎回毎回切る必要があるのだが、これがあるとないとではゲーム全体の感触がかなり異なるものになってしまうはず。音が入っているからか、ちゃんとテカテカしたビニールをピリリッと切ったような気がするんだよね。何のカードが入っているかな?というワクワク感に繋がる良演出。

<操作>
全体的にはスムーズに操作できるつくり。ところで上に書いた購入時の切るアクションが必要だということは、手にタッチペンを持ってプレイするスタイルをとるということでもあるのだけれど、だからといって対戦時の操作もタッチペンをちょくちょく使わせる必要はあったのだろうか。できる限りキー操作だけに絞ってもらったほうが、ゲームの展開をスピーディにできたように思う。

<その他>
同じカードを長く使っていると同一カードでも別絵柄のものがゲットできたり、いらないカード同士を配合して別のカードを作ったりといった、そのときに必要のないカードも無駄なく使えるつくりは変わらず。とくに同一カードの使い込みシステムは、使ったことがない(自分には必要ないと思われる)カードでも一度使ってみようと思わせてくれるため 、同時に自分の戦略にも幅を出すことができる一石二鳥のシステム。絵柄違いカードについては、メモリが許せば3Dポリゴンキャラにも(じゃなければカード上の小さな画に)変化を付けて欲しかった。実際のTCGの『カードヒーロー』は、絵柄違いって出せばすぐにわかるから存在感が大きいんだけど、DS上でそれを表現しても自分で自分のデッキをいじるときくらいにしか見分けが付かなくて、ゲットしても優越感を味わう楽しみというのはほとんどない。

<まとめ>
1回のゲームに時間がかかるという短所を克服するために追加されたスピードルールは、1対戦が5分から10分で決着がつくお手軽さ。惜しいところは、スピードルールはWi-Fi対戦と相性が良くて秀逸なルールなのだが、シニアやプロルールが余計に長く感じられてしまうという副作用を併せ持つところだろうか。とはいえ、全体としての完成度はかなり高い。ゲームそのものの面白さはゲームボーイ版の時点で完成していたが、そのリメイクとして短所をそぎ落としつつ長所を加えた良作。
レビュアーインフォ
プレイ時間: 100
難易度: 普通
クリアの有無: クリア済
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推薦
オススメ 


 レースゲームと割り切れば良作,  2007/12/01 土曜日 13:41:42 JST

平均
3.8
操作性
4.0
映像
4.0
音楽
4.0
独創性
3.0
満足度
4.0
選択可能なモードは以下の4種類。

クイックラリー
ランダムで選ばれたコースと車種で、1レース気軽に走るモード。

タイムトライアル
コースと車種を選択し、最速タイムに挑むモード。
最速タイムはゴーストとしてコース上に表示あり。

シングルラリー
コースと車種を選択し、1戦のみ参戦するモード。
ライバル車はゴーストとして表示(既にスタート済み)

チャンピオンシップ
各地を転戦し、チャンピオンを目指すモード。
こちらもライバル車はコース上を走行中のゴーストとして表示
PSP版は「WRC風」ゲームと割り切る必要あり
「WRC」のゲーム化として捉えてしまうと、特に以下の2点で面食らってしまう可能性が高そう。

1 マニュアル設定なし。オートマのみ。
2 コース上のゴーストを抜いて順位を上げるシステム

1はリアリティ云々以前に、設定できるかできないかで遊べるプレイヤーをかなり狭めてしまいそう。また2に関しては、雰囲気がWRCというより『リッジレーサー』っぽく感じてしまう要因に。

コースは16×4=結構ある
コースは各国4コース(最初はそのうち2コースしかオープンになっていない)用意され、全16カ国を転戦できるので十分な量に感じます。風景から受ける雰囲気やコースの作りも、それぞれの国ごとに違いを感じられるようになっているかと。ただこちらも「WRC的」かどうかと言われれば、「どっちかって言うとゲーム的」という返答になります。妙にアップダウンが激しいコースだったり、次から次へとタイトなコーナーが続くコースだったりが多い印象ですので。
また自車を画面上に表示させていればそれほどでもないのですが、ドライバー視点に変更すると他のゲームと比較して道幅が狭く感じてしまいます。

読み込み時間・複数人対戦
レース前の読み込みは15~20秒ほど。一度読み込んでしまえばしばらくは同じコースをリトライし続けることになりますが、そのリトライ時は読み込みなしでの再スタートなので、全体としてはそれほど待たされる感覚はありませんね。難易度選択は可能。ノービスにすると、チャンピオンシップモードなどでは上位5位以内に入っていると次の国へ進めるような作りになっています。コ・ドライバーの指示は英語のみです。コース自体が短めなものが多く、何度かプレイしていると全体的な構成を覚えることができるので、コ・ドライバーの指示は聞き取れなくてもそれほど問題なさそう。選択可能な車種は6車種。各車種ごとに細かいチューニングなどは全くできません。

複数プレイヤーでの対戦は、アドホックモードによる8人同時プレイと、1台のPSPを手渡ししながらのターン制が用意されています。同一ゲームを複数持ち寄ることの難しさもありますが、そもそもの「WRC」の内容から、後者でも十分楽しめそうな気はします。

クラッシュ時の勝手な視点変更は困りもの
気になる点は、コースアウトした後に視点が勝手に変更されてしまうことがあるところ(自車表示のビハインドカメラになってしまう)。△ボタンでいちいち視点を戻してから走り直す必要があります。ま、これは上達してくればコースアウトの回数も減ってくるので、必然的に生じる回数は減ってきますがそれまでが面倒です。またPSPのアナログスティックでは力の掛けかたが難しいので、当方の場合は十字キーの左右でのコントロールのほうがかなり走り易く感じます。
それと、90度以上のコーナー(ヘアピンなどそのまま曲がるカーブではなく、道が分岐している部分)はグラフィック的にかなり把握しづらく、ナビが表示されているにもかかわらずどこで曲がっていいのか瞬時に判断できないことがあります。

まとめ
既にコース上を走行中のライバル車(ゴーストなので当たり判定はありませんが)を抜いて順位を上げ、規定順位以内に入れば次のコースへ進めるという作りが、良く言えばゲーム的、悪く言えばWRCっぽくないので、このへんを許容できるかがゲームを楽しめるかの分岐になりそうです。車体の重みをあまり感じられない挙動だったり、あるいは時速100km以上で走行中にもかかわらず、道端の小さな茂みに当たっただけで停止してしまったり、そしてマニュアルモードが用意されていなかったり。このへんも「道端の茂みににさえ、1個たりとも当たらないように進めるゲームでしょ」とか納得して遊べるならいいのですが、思い描いた「WRC」とのズレを強く感じてしまうと、それぞれがフラストレーションの要因になってしまいそう。

全体的な作りとして、PSPという携帯型ゲーム機で気軽に遊べるレースゲームとして、コンパクトにまとめられている良作だと思います。1コース2~3分のコースで構成されているので、長いコースを集中力を切らさずプレイする緊迫感はないものの、携帯型ゲーム機で空いた時間にプレイするには合っているのでは。実際はPSPのメモリ容量上、このくらいの長さのコースしか入れることが出来なかったのが理由なのかもしれませんが、そうだとしても気軽に遊べる長所へ転化しているので結果オーライだと思います。ハードの性能的にPS2の同シリーズよりはスケールダウンしてしまうことは否めませんし、それなら挙動やコースの作りはゲーム的に振ってしまってもいいのかなと(WRCと冠しているゲームがそれを行うことの是非は置いといて)。
ただ海外でリリースされている『Colin McRae Rally 2005』のPSP版はしっかりWRCよりに味付けされているようなので(当方未プレイ)、そちらと比較してしまうとWRCっぽさ(あるいは挙動のリアリティ)の希薄感が強まってしまうようです。

WRC プレイ開始当初は現実の車の挙動や実際のWRCとの違いなどが、またこれまでのシリーズと比較してもシステム面を中心とした物足りなさが気になってしまってスケールダウンな「なんだかなぁ」感が強かったのですが、各国を転戦していくうちに、PSP版ならではの割り切りの良い作りに「これはこれでいいのかも」と思えてきた、という感想を追加しておきます。
レビュアーインフォ
プレイ時間: 20
難易度: 普通
クリアの有無: クリア済
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 手堅くまとまってはいるが…,  2007/11/30 金曜日 19:20:44 JST

平均
3.4
操作性
4.0
映像
4.0
音楽
4.0
独創性
2.0
満足度
3.0
『真・女神転生』シリーズなどを手がけた岡田耕始氏が携わったPSP用のオリジナルタイトル『モンスターキングダム・ジュエルサモナー』。とにかく移植や続編モノが多いPSPですから、大作オリジナルタイトルということで発売前から期待していた作品でした。さてその感想ですが…。

ゲームのシステム
ゲームはモンスターを捕獲し、育成し、召喚(ゲーム内用語では「晶喚」)して戦わせるシステムを採っています。このあたりのゲームの幹となる部分は、ほぼ『ポケモン』と言ってしまっていいものだと思います。捕獲したモンスターは各種の錬成を行うことで、パラメータを強化したり別モンスターに進化させたりすることが可能です。このゲーム独自の作りとしては、この錬成に現実の時間の経過を必要とするというところ。大変な錬成であるほど時間がかかるので、寝る直前に錬成所にお願いして、起きたときに確認してみるといったような流れになります。さっさと先へ進めたいプレイヤーには面倒に感じてしまう部分だと思いますが、モンスターを捕獲・収集して育成するこのタイトルに限っては、そういった作業自体が全て時間のかかるものですから、実際の時間経過を必要としても足を引っ張るようなシステムではないと思います。

各キャラクターはバストアップ画像とボイスつき
登場する主要なキャラクターは(それ以外に街の住人なども:後述)バストアップ画像が用意されていて、会話中の感情の変化によってグラフィックも相応のものに置き換わります。また主要イベントのほとんどにボイスが付いているので、感情ごとの画像と相俟って賑やかな雰囲気は受けるものになっています。

ただこれはこの作品の最も目立つ短所のひとつにもなっているのですが、各主要キャラクターの性格付けがあまりに典型的でありきたりなものなので、せっかくのグラフィックやボイスも宝の持ち腐れになってしまっています。ゲーム制作時のキャラクターを作り上げる過程で、たとえば「かわいいけど気が強くてわがままな女の子」とか「拗ねていてワイルドぶっているけれど、実はいいとこのボンボン」といった設定のキャラを作るよう要望が出たとして、それをそのまま何のひねりもなく作りあげてしまったようなキャラクターばかり。画面に表示されたまま、見たままの薄っぺらい印象しか受けないため、これらのキャラクターがこの地で実際に生活しているという実感がほとんど湧きません。

またプレイ開始直後が特にそうなのですが、主人公キャラが無口で無愛想かつ素性の知れない存在のため、感情移入が図れずに前述した典型的性格のキャラクターたちと勝手に何かやっているという置いてけぼり感が強いのです。こういった無口で無愛想なキャラを操作させるのであれば、冒頭に「実は心を許せる唯一の友(あるいは家族や恋人)がいる」という違った一面を見せておくとか、過去の事件によって無愛想になってしまったという理由を見せておくとか(親を殺した仇を探しているという情報だけは、ごく一部提示されますが)、プレイヤーが主人公の性格に対して「保留状態」でいられるようなフォローが欲しかったところです。フォローが欠けているために、プレイヤーによってはプレイ開始から間もない時点で既に「この主人公は嫌なやつだ」というネガティヴな感想が確定的になってしまい、「そんな奴が何をしようと知ったこっちゃない」という投げた姿勢に繋がってしまうと思います。

戦闘・敵の属性など
捕獲は敵のモンスターの体力を減少させたのち、その敵の属性に合わせたマテリアルというアイテムを利用することで行います。また戦闘はパーティを組んだキャラそれぞれのモンスターが召喚されるので、「プレイヤー側3体のモンスター」対「敵側複数のモンスター」のパーティ戦になります。モンスターは光、闇、火、風、土、水、氷、雷の属性に分類され、属性に合わせた攻撃によって敵の攻撃順を遅らせたり、ダメージ量を増加させたりできます。各エリアでは登場する敵モンスターの属性がある程度限られているので、例えば火のモンスターばかり登場するところではプレイヤー側のモンスターを水系で揃えておくなど、事前の対策で戦いを優位に進めることが可能です。

属性に関する短所としては、その数がちょっと多すぎるように感じる点。火水風土の四属性ならまだしも、8つの属性が影響し合っていると直感でどの属性がどの属性に対して威力を発揮するかが分かりにくいですし、敵の属性それぞれに対処できるような布陣で臨むには、プレイヤー側も各属性のモンスターをそれなりに育てている必要があるわけですから。

グラフィックに関して
グラフィックは各街ごと、建物ごとに一枚絵が用意されていて、それぞれ綺麗に描きこまれています。ダンジョンなど移動可能な場所は、立体的な仕掛けが盛り込まれているわけではありませんが、3Dで描かれているので立体感はあります。

街の人物も各々バストアップ画像が用意されていて存在感はあるのですが、店の店員とそれ以外の一般人との間で画像を使いまわすのは少々残念なところ。実際に用意されているバストアップ画像の種類に関係なく、「使いまわしてるな」感が強まってしまって多彩さに欠ける印象を与えてしまいます。主要キャラのボイス量が多いのでしわ寄せがきたのかはわかりませんが、せめて店員は別グラフィックを用意するとか、もう少しメモリを割り振ってもらったほうが良かったように思います。

「モンスターキングダム」とモンスターを前面に出している作品にしては、肝心のモンスターのデザインはいまいちに感じてしまいます。かわいいのからグロいのまで種類は豊富なのですが、自分のモンスターとして召喚・育成してみようという動機付けになる魅力があまり出てません。全体的に土臭いといいますか、洗練されていない印象のモンスターが多く、それでも例えば『アークザラッド精霊の黄昏』のように独特な動きをしていれば個性も感じられるのですが、容易されているモーションも「こういうモンスターはこういう動きだろうな」という予測の域を出ていないものがほとんどです(主要キャラクターの性格に合わせて、ここでもプレイヤーの「予測の域を出ない」のが短所となっています)。

BGMに携わるスタッフは「夢の競演」級の豪華さ
BGMはゲームミュージックでは著名な面々が参加しているので、普段ゲームをプレイしている人ならどこかで「あ、これはあの人の曲だ」と気がつく曲がかかるのでは。プレイ前はどこが誰かはほとんど分からないだろうなと思っていたのですが、意外とわかるもんですね。(詳しくは公式サイト参照。BGMの試聴も可能)

その他ロード時間や操作性など
このゲームの長所として挙がることの多いロード時間の短さですが、確かに移動時や会話時の待ち時間は短めで軽快です。操作も各場面でLRボタンによる選択が可能になっているので、街やフィールドでの目的地選択もわざわざアナログスティックで指定する必要がなく容易です(これらは1枚絵で表示されるので、実際にキャラを動かすのではなく目的地を指定する方式が採られています)。

気になる点といえば、戦闘時のプレイヤー側モンスターの攻撃モーション表示中に、少しの間(0.5秒くらい)画面が止まってしまうことがあること(ただし毎モーションではなく、戦闘開始直後のモンスターのモーションのみ1回だけ)。音楽は鳴り続けているので流れが分断されるというほどではないのですが、 RPGの戦闘といえば相当回数行う作業なわけですから、この部分は改善できなかったものだろうかと残念に思います。

まとめ
グラフィックや音楽、またレスポンスや短い読み込み時間など脇を固める部分はしっかりと丁寧に作られている印象なのですが、残念ながら肝心の幹となるストーリーや世界観、登場キャラクターという部分の魅力に乏しいように思います。聞いたことのあるような世界設定で、聞いたことのあるような事件が起こり、どこかで見たことのあるようなキャラクターたちが翻弄されながらも事件解決に向けて冒険してゆくという、良く言えば「安心感」のある、悪く言えば「新鮮味に欠ける」「保守的」なタイトルでした。

ポケモンライクなゲームをPSPの美麗グラフィックと豪華BGMで遊びたい、というだけなら十分及第点なのですが、PSPでオリジナルのRPGとして登場した作品であるから、またオリジナルなものを作りたいと「ガイア」を立ち上げた岡田耕始氏が携わる作品であるからこそ、もっと新しい世界やシステムを前面に出したものであってほしかった、そういう思いが強く残ってしまいます。尖った作品を期待したところ、手堅くまとまったオーソドックスな作品だった、そんな期待とのズレが大きかった印象です。

PSPというハードに対する、ガイアにとっての習作的な意味合いを強く感じてしまう作品です。
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プレイ時間: 30
難易度: 普通
クリアの有無: クリア済
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 ゲームブック世代に,  2007/11/23 金曜日 21:39:37 JST

平均
3.6
操作性
4.0
映像
3.0
音楽
3.0
独創性
4.0
満足度
4.0
歴史の流れにどう関わっていくのかというという縦軸の自由度と、多数の街や洞窟などを好きなように移動して冒険を進められる横軸の自由度、2つが良いバランスで組み合わさったことで評価の高かったPS版『ジルオール』のリメイク。用意された要素が多く、物語の歯車も回りだすには比較的時間のかかりそうな本作。そのため十時間ほどのプレイでは、これらの魅力はごく部分的にしか感じられない段階だと思われるため、今回は序盤で気になった点を中心にインプレッションをアップしてみようと思います。


*少々古さを感じさせるグラフィック*
リメイク前のPS版をプレイしたかそうでないかで評価が正反対になるのかもしれませんが、未プレイの当方が最初に受けた印象は「なんだかPS1のようなグラフィック、モーションだな」というものでした。正直もう少し今風なアレンジがされていると思っていたので、その先入観とのズレが大きかったというのもあると思います。オリジナル版の雰囲気を壊さないようにしているからかもしれませんが、もう少し洗練されたものであったら新規プレイヤーも入っていきやすいのではないかと。展開も地味にジワジワと盛り上がっていくタイプのようなので、見栄えだけでもきらびやかさがほしいと思えてしまうのです。下手にギラギラされると邪魔になるので、まぁ欲を言えばということになりますが。

*チュートリアルで最低限の知識を得られる*
ゲームのシステムに関する最低限の知識は、最初にチュートリアルを選択することでストーリーを進めながら得られるような作りになっています。チュートリアルでは登場人物との会話から、ゲームのシステムに関する解説を聞くことが可能です。ただせっかくチュートリアルを用意するのであれば、ソウルやスキルに関してどこを操作すればどうなるのか、あるいは戦闘システムはどのようになっているのか、実際に画面で表示させながら教えてくれてもよかったかなと思えます。教えてもらえるのはあくまで用語などの知識に関してのみなので、それを実際ゲームでどう利用していくのかはチュートリアル後にプレイヤーが試行錯誤して覚えていかなければなりません。開始1時間前後でチュートリアルなイベントは終了し、そこからはこのゲームのウリである自由な冒険が可能になります。

*セリフは説明的なものが多い*
世界観や歴史がしっかりと設定されている作品だけに、それを理解させるための村人の解説的会話が多めです。現在起きているイベントに関するものよりも、必然的に世界や人物、歴史に関する独白的なセリフの割合が多くなってしまうので、主人公と村人が相互にコミュニケーションをとるというよりも、村人から主人公に一方的に情報が流れるという図式になりがちです。会話から帰納法的に世界の全体像を把握していくという楽しみはあるのですが、逆に村人が実際にその場で生活しているという感覚は薄いものになっているように感じます。各地の街や村を自由に移動できるわりに、各街ごとの独自の文化というか雰囲気が希薄な感じがする(つまりどこに行ってもそんなに代わり映えがしないように感じる)ことの原因、これは街のグラフィックが絵画的・均一的なものであるからという点以外に、上記の解説的会話が多いこともあるのではないかと思われます。

*動きや読み込み時間、主人公の独白などの統一感に欠ける*
画面切り替え時に2~10秒前後の読み込み時間が発生するのですが、これが例えば同じ街の中の移動であっても長かったり短かったり一定しないため、プレイしていてテンポが悪く感じてしまいます。イベントなどで主人公が自動的に移動する場合にも、先に場面だけが切り替わってしまい「あれ?主人公はどこ?」と戸惑ってしまうことがあります(結局数秒後に画面端から現れたりするのですが)。
また主人公はセリフを発しない、所謂ドラクエ型なのですが、独白に限っては喋るので違和感を感じてしまいます。どちらかに統一したほうが感情移入しやすいのではないでしょうか。

*いかにもRPG、な会話が多い*
おじいさんキャラに話しかけると「○○なんじゃ。」とか、妙にRPG臭の強いセリフが多いように感じます。せっかくフリーシナリオという個性の強い作品なわけですから、セリフにも気を配って差別化を図ってくれたらなお魅力が増したのではないかなと思えるのです。女キャラの「くすくすっ」という笑い方も、いやこちらは好みの問題もあるでしょうけれど、セリフに挿入されてしまうと奇妙だなぁという印象を受けてしまいます。

*まとめ*
画面から受ける印象はかなり地味に感じます。戦闘もモーションが派手なわけでもなく、色合いもPS1やSSでよく使われたような枯れ草色系カラーが多様されていますので、新鮮味に欠けてしまいます。戦闘やアイテムまわりのシステムも、思っていた以上によくあるタイプのきわめてオーソドックスなRPGといった印象です。
ただそうであるにも関わらず、自分が行動を選択していくことによる他登場人物との関係の構築、発生する歴史的な出来事へ介入するかしないかで変化するストーリーなどに多様性を強く感じることができ、「もしかして最初からプレイしなおしたら、全く違った物語が出来上がるのではないだろうか?」というまさに自らが選択したことで眼前に広がる世界に変化が現れるという点に大きな魅力を持つ作品であると思えます。十数年前にハマったゲームブックを読みふけっているときのワクワク感、それと類似するものをこのゲームから受けたのは、無数に枝分かれしていくような感覚が強いシステムが採られているのが原因なのでしょう。全体像はどうなっているのか?という疑問がつい湧いてしまいますが、それまでの過程をじっくり味わう時間こそが楽しいのでしょうね。
今回のリメイクでもメインとなったのは、イベントやエンディングなど広がりに関する要素がほとんどのようですから、地味な部分を一点豪華主義的に強化する方向性は、魅力をさらに増すために正しい選択だと思われます(ついでにロード時間なんかにも気を配ってくれれば、なおよかったよなぁとも思えますが)。
レビュアーインフォ
プレイ時間: 25
難易度: 普通
クリアの有無: 未クリア
運営ブログ・サイト: http://gnw2.net/


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