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レビュアー: ほらえもん

 戦闘は秀逸、キャラも魅力的だが,  2007/07/16 月曜日 11:03:01 JST

平均
3.8
操作性
4.0
映像
5.0
音楽
4.0
独創性
4.0
満足度
2.0
病の床に伏せた音楽家・ショパンが最期に見た夢。
それは夢の世界でありながら現実の世界となんら変わりない
生活を人々が送る世界だった。唯一異なっていたのは、
不治の病に侵された者は魔法を使えるということ。
ショパンははじめこの世界は自分の夢の世界だと客観的に、
そして他人事の世界のように捉えていた。
しかしその夢の世界で不治の病に侵されながらも
運命を受け入れひたむきに生きる少女・ポルカや、
ポルカを救おうと旅を共にするアレグレットなどとの出会いを通して、
次第にここが夢の世界なのか現実の世界なのか曖昧になってくる。
果たしてこの世界は夢の世界なのか、それとも現実の世界なのか。
そして運命に翻弄されるポルカたちの行く末は……。


『トラスティベル ~ショパンの夢~』は
株式会社トライクレッシェンドが開発をし、
バンダイナムコゲームスから販売されたXbox360用ソフトです。
これまでにあまりない実在の音楽家・ショパンを題材にし、
美麗で暖かみのあるビジュアルイメージやキャラクターたち。
そしてショパン楽曲の演奏にはピアニストのスタニスラフ・ブーニン氏、
ナレーションには森本レオ氏、ゲーム楽曲には『テイルズ』、
『ヴァルキリープロファイル』、『スターオーシャン』シリーズを手がけ
人気も高い桜庭統氏を起用と、割と豪華・大作路線で
オリジナルタイトルでありながら発表当初からユーザー間で注目度が高かったです。


■細やかな演出と考え抜かれたシステムが戦闘を盛り上げる

本作の楽しさはやはりRPGの肝である戦闘システムにあります。
ターン制を配しながら、キャラごとに一定の行動時間(アクティブタイム)を設け、
リアルタイム性を融合させた「タイムシェアード リアルタイムバトル」システムが
なかなか秀逸です。また戦闘はコマンド方式ではなく、
バトルフィールドでキャラクターを操作して敵に攻撃をする
アクション性の強いものとなっています。
一応アクションが苦手な人のために、序盤はキャラクターを操作しなければ
アクティブタイムはカウントされず、移動や攻撃をしても
手を止めればアクティブタイムも止まる措置はあります。
しかしストーリーを一定のところまで進めると、
「パーティクラス」というパーティ全体のレベルのようなものが上がり、
それによってアクティブタイムや行動前に
どう行動するか考える時間(シンキングタイム)も減少してしまいます。
さらに一度「パーティクラス」が上がってしまうと、
下げることが出来なくなるので、慣れが必要です。
もちろん「パーティクラス」が上がることによって、
そういうデメリットだけをこうむるワケではなく、
所持できるアイテム数が増加したり、
攻撃するごとにエコーを溜めることができたり
(エコーを溜めると必殺技のダメージが増加します)、
一定までエコーを溜めて必殺技を出すと
別の必殺技を続けて出すことができたりとメリットも多いです。
またアクティブタイムなどの減少は、
戦闘の飽きがこないようにテンポアップとこれまでと違う戦術を
持ち込ませるための工夫と考えると良く出来ています。

そのほか戦闘が楽しく感じるようにいろいろな
演出や仕様が施されているなと感じました。
例えば必殺技を使用するためのMPや技ポイントなどのような値はなく、
行動時間中であれば何度でも必殺技を放つことができます。
攻撃・アイテム使用も同様です。
もちろん必殺技のモーション中はアクティブタイムが減少していきますので、
状況によって効率の良し悪しは変わってくるでしょう。
また必殺技もそうなのですが、通常の攻撃時に発せられるSEが地味ながらも
攻撃時の手ごたえとして大きく感じることができます。
また与えるダメージがストーリー序盤から3桁を超え、
1キャラクター行動中のトータルダメージも余裕で4桁を超えます。
そのほかレベルもわざわざ上げようという意識もなく上がっていき、
HPもストーリー中盤を迎えれば5桁に突入と、
FFを上回る数値のインフレっぷりが気持ちいいです。
さらに攻撃ボタン連打中にアクティブタイムがなくなっても
攻撃モーションが残っていればそこから必殺技に繋げることが
出来る余裕があります。もちろんあまり粘りすぎると
必殺技を打てずじまいになり、敵から攻撃を受けることもありますが、
ここはうまくリスクとリターンを体現しています。
その反面、防御は反射神経がよくなければなかなか成功しない
(成功すれば絶大な効果)ので「攻撃は最大の防御」が
大きな理念のゲームとなっています。


■ストーリーは消化不良、キャラクターは魅力的だが、プレイヤー目線に立っていない

戦闘システムはここまで解説した通り、非常に良く出来たものだと思います。
しかしRPGのもうひとつの要であるストーリーは
残念ながらそれとつり合うものとは言えません。
大筋のストーリーである ポルカたちが暮らす世界は夢の世界なのか、
現実の世界なのか、そしてストーリー後半で急激に進展する
ポルカの運命はグイグイとプレイヤーを引っ張っていくのですが、
途中強引で納得のいかない展開も多く、真実は語られずに消化不良気味です。
さらにストーリーを進めるのにも、アレが必要、
コレ取ってきて、誰それがいないから探してきて、
ちょっと時間が余ったからあっち行ってきて、
などあからさまなおつかいイベントのオンパレードです。
「新感覚クロニクルRPG」改め「おつかいRPG」とジャンル改名しても
通じるくらいじゃないでしょうか。

また、少し進めたらデモムービー、進めたらまたデモムービーと、
こちらもかなりの頻度でムービーを見せられます。
僕はRPGをほとんどプレイしないので、他の作品との対比が難しいのですが、
最近の声優さんが声をあてているRPGはみんなこんな感じなんですかね?
ゲームを進めている時間よりもとデモムービーを見ている時間の方が長い、
とまではいきませんが、同等分ぐらいの長さを感じました。
これでテンポが悪いと感じる人もいるでしょう。

さらに細かいところまで突っ込ませていただくと、
僕はワイヤレスコントローラを使用していたのですが、
ワイヤレスコントローラは何時間も放置されて電池が消費されるのを防ぐため、
しばらく操作を受けなければ自動で電源が切れる性能を持っています。
また360本体には画面焼けを防ぐためにスクリーンセーバー機能が備わっています。
こちらは10分以上の操作を受け付けなければ画面が暗くなる仕様です。
この2つの機能がデモムービーの長まわしによって機能してしまう場面があります。
せっかく戦闘システムではプレイヤーの気持ちよさを考慮して
細かいところまで気をまわしてくれていたのに、
これには残念というか口があんぐりと空いてしまいました。

デモムービーに関してもうひとつ不満点があります。
ブーニン氏のショパン楽曲の使い方です。
トラスティベルのストーリーは各章仕立てになっており、
タイトルはショパン楽曲から取ってつけられています。
章の節目やキーポイントになると画面がフェードアウトしていき、
一枚絵の静止画とともに章タイトルになっているブーニン氏演奏が流れ、
そこに字幕でその楽曲の解説や実際のショパンの生い立ちなどが語られます。
ブーニン氏の演奏はこの場面でしか使われません。
てっきりショパン楽曲をバックにゲームをプレイできると思ったら
ものすごい肩透かしを食らいました。

ましてやゲームキャラクターとしてのショパンは徐々に戸惑いはするものの、
常に客観的に夢の世界を捉え、主人公として物語の中心となって
話を引っ張っていくというポジションではないので、
プレイヤーが感情移入しにくいです。
そんな中ショパンの生い立ちを語られても大して知りたいとも思えないし、
開発側の「ショパン大好きだからショパンのこと知って!」というエゴを
押し付けられている気がしました(開発スタートのキッカケは
ショパンピアノ国際コンクールのドキュメンタリー番組だったそうです)。

ただそのほかの主要キャラクターたちはしっかりと命を吹き込まれ、
愛すべきキャラクターばかりです。主要キャラクターは数も多く、
それだけに全てのキャラクターの過去や背景が語られないのはもったいない、
もっとこのキャラクターたちについて知りたいと感じました。
例えば、ビートはアレグレットのことを「兄ちゃん」と慕っていますが、
実の兄弟じゃないです(このことはゲーム中ほとんど語られませんが、
公式サイトや発売前情報などで公開されています)。
2人はどうやって出会い、何がキッカケで「兄ちゃん」と呼ぶようになったのか、
などなどあげればキリがありません。
暖かみのあるこの夢の世界(?)の住人たちにもっと光を当ててほしいですね。


■やり込み要素は少なく、作業と感じるものが多い

本筋から逸れるやり込み的な要素は他の作品に比べかなり薄いと思います。
スコアピースという楽譜が世界に散らばっており、
それを収集することでスコアピースを持っている街の人と
セッションすることができます。良い評価を得るとレアアイテムを貰えますが、
スコアピースを自力で収集するのはほぼ無謀、
そこからセッションをひとりずつ順番に高評価を得るまで
とっかえひっかえやるのは作業感丸出しです。

またRPGではありがちなサブイベント「わらしべクエスト」も独自性にかけ、
本筋がただでさえ「おつかいRPG」なのにそれに拍車をかけています。

戦闘中にビートの持つカメラで敵を撮影する「エネミーフォト」は
撮った写真に対してランクやお店に売りに持っていくと評価ポイントがつきますが、
1度に持てる写真は12枚までで、ほとんどお金稼ぎのためだけにある感じです
(通常の戦闘ではお金はすずめの涙程度しか貰えない)。
せっかく美麗な舞台とカメラが揃っているのだから、
戦闘以外の普通のフィールドなどでもカメラで写真が撮れるようにして、
スライドショーで見れるようにしてくれれば良かったのにと思います。
エネミーフォトにしたって、モンスター辞典などのようなものを作って、
写真をコレクションさせてくれればなと思いました。


最後にここまでの解説で書けていない満足・不満点を簡単に。

・満足
さすが桜庭統氏ということでサウンドは申し分なしです。
クラシックベースの楽器を使いながら戦闘曲なども力強いものとなっています。
またゲーム中に一度流れた曲はメニュー画面からいつでも聴き返すことができます。
ショパン楽曲についても同様です。グラフィックもきつすぎない
トゥーンシェードで表現されており、街や風景の美しさは他の作品と
一線を画したものです。移動中になびくポルカの長髪に要注目。
ストーリーを進めるにおいて、謎解きなどはあまりなく、
どこかで詰まって進めなくなるという場面はほとんどありません。
ゲーム全体の難易度も戦闘のアクション性を差し引いても、やさしめでしょう。

・不満
カメラワークが若干悪い部分があり、
ダンジョンなどのマップの全体像がつかみにくいです。
また行けるところが一部わかりにくいところがあります。
さらに戦闘開始時に敵がどちらにいるかどうかが若干把握しづらく、
操作してみたらそっち側じゃなくて反対側だった、
戻る間もなくターン終了ということもしばしばあります。
モンスターのバリエーションが少なく、
同じタイプの色違い・属性違いで数を増やしている感が強いです。
またモンスターは日向(光)・日陰(闇)と移動する場所で
リアルタイムに変化する(モンスターモーフィングシステム)のですが、
このシステムの存在が希薄です。闇に移動すると巨大化するモンスターもいますが、
差して脅威になることはほとんどありません。
それよりも重要(といっても気にしなくても
攻略には差し支えない程度)なのは味方キャラクターの必殺技が光と闇で
変わってくるのでそちらの方ですね。ストーリーが難解なので
デモムービーをいつでも繰り返し見れる機能が欲しかったです。
ショパン楽曲・ブーニン氏の露出が少なかったのと同様に
森本レオ氏の露出も低いです。オープニングと
そのほかにちょっとしか出番がないってどういうこと…。
発表時にユーザーの掴みとして使われた気がしてならないです。
ストーリを追うだけならエンディングまで20時間前後というのは、
ボリューム不足かサクッと終わらせて良いか賛否分かれるところでしょうね。

以上のように、残念ながら不満点のほうが多くなってしまいました。
それでもやはり戦闘の小気味よさと気持ちよさは出来が良いですし、
キャラクターたちもそれぞれ個性があり、光っています。
それ故にもったいない、惜しい作品だなと感じました。
お世辞にも「360を持ってる人はみんな買って遊んで!」とはオススメできません。
ですがプレイした個人的な感想としては愛おしい作品ですね。
ほら、出来の悪い子ほど気にかけてあげたくなるっていうじゃない。
きっとそんな心境なんです。ぜひとも何らかの形で
トラスティベルの世界を描いたエピソードをまた世に送り出して欲しいと思います。
そんな夢が夢で終わらないように願いを込めつつ、
このレビューを締めさせていただきます。
レビュアーインフォ
プレイ時間: 65
難易度: やさしい
クリアの有無: クリア済
運営ブログ・サイト: http://blog.livedoor.jp/gameforum/

最終更新: 2007/07/22 日曜日 10:55:20 JST



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