レビュアー: ねば郎
大人な雰囲気のポータブルノベル, 2007/11/23 金曜日 13:42:06 JST
■PSPを縦に持つという新スタイルの絶対必要性
今作が十字キーと基本4ボタン+R/Lボタンという常識的なコントローラの使い方から脱却した理由は、新たな「操作性」を生み出すことを念頭においたものではない。アドベンチャーゲームであるが故に、新しいプレイ感覚を追求することは、基本的に文を読み進めていく類のゲームでは無意味である。操作性云々という問題ではなくて、PSPを縦にすることによって生まれる最大のメリットは何なのか。それは、「縦長のスクリーンを得る」ということである。元々PSPは、携帯ゲーム機としては規格外のアスペクト比16:9のスクリーンを持っているため、PSP自体のマシンパワーとの相乗効果もあって重厚なストーリーを語るRPGだったり、広大なフィールドを駆け回り敵を倒していく等のアクションと相性がいい。大きなスクリーンを持つということはそれだけゲームに幅を持たせることが出来る。無論アドベンチャーゲームにおいてもそれは例外ではない。
「縦長のスクリーン」がもたらしたものは、今作の作風を決定付けたたかなししん氏によるイラストの全体像表示、そこに尽きる。
今作の公式HPを見ても分かる通り、登場人物のデザインが昨今のそれとは明らかに方向性の違うものである。ゲームというよりは、どちらかといえばファッション誌に掲載されるようなデフォルメされたもの。線の細いすらっとしたスタイル、決して浮き世離れしていない好感の持てるデザイン、ファッション。そんなキャラクターがPSPの縦画面を最大限活用して映し出される様は、見ていてなかなか気持ちがいい。洗練されたイメージがそのままゲームに生きているというか。そして何より緊迫したシチュエーションだとその緊張感に拍車がかかる。横持ちでは実現出来ない縦持ちならではの演出を生み出し、さらにそれが随所に盛り込まれている探偵アクションの面白さの本質にまで迫っているのは見事だ。
■個性的なキャラクターが織り成す秀逸なストーリー展開
一人一人のキャラクター描写が素晴らしく、脇役に至るまで誰一人として空気なキャラがいない。個性的なキャラが多いからといって、崩れることのない見事なバランスで独自の作風を醸しだしている。たかなししん氏によるデザインがゲーム業界においては新鮮という所為もあるとは思うが、それをうまく料理している印象を受けた。特に主人公が属する探偵事務所の職員は強烈なキャラが多く、登場回数が他と比べても圧倒的に多いということもあり印象深い。
キャラ立てに成功しているだけでなく、今作は肝心のストーリー展開も見事である。主人公が持つ目的として、原因不明の失踪をした父と夫を探すというくだりが大筋で、その真相を追究しながらも浮気調査といった探偵事業をこなすことになる。物語は最終的に失踪事件の髄にまで迫ることになり、次々と伏線が解かれていく後半部分にはカタルシスを感じた。まさに怒涛の謎解明パート、今作の核ともいえる超重要シナリオがしっかりとした出来に落ち着いていたことには安心した。
そして、何より今作はテンポがいい。前半部分も決して中弛みせず、見事なバランスを保っている。話の強さでグイグイと読ませる感じ、俺も2日でクリアしてしまった。
■植松伸夫氏によるサウンドの新たな一面
基本的に、俺が植松さんのサウンドはRPG作品のものしか聴いたことがないからかもしれんが、植松さん的にもアドベンチャーというジャンルを考慮してか今までに聴いたことのない音作りがされていて面白い。しかもサウンド自体は相変わらず中毒性の高いものが揃っていて、逆にアドベンチャーというジャンルでよくここまで、いい意味で「聴かせる音楽」を作れるな、と感心した。さすがゲーム音楽業界の巨匠、植松伸夫。この境地にまで達している人だとジャンルなんぞ選ばないんだろう。いや、メディアもか。
■ボリューム不足は否めない
基本的に一周すれば終わりである。攻略パーセンテージなどが設定されているわけでもなく、分岐点を全て回ったからといって何かがおこるわけでもない。いくつかバッドエンドなどもあるが、それを見るのも結局は自己満足の域。何か一つパンチに欠ける気もするが、まあ対象ユーザー(おそらくは女性、それもライトな)などを考えればこれくらいでいいのかもしれない。
■総評
今年一押しのアドベンチャーゲーム。旧型PSPでも問題なくプレイ出来たが、最近新型を手に入れた、なんて人には是非プレイしてもいらいたい一品。最初は縦持ちに若干の違和感を覚えるかもしれないが、すぐに解消されるし何より軽量化された新型なら快適度は段違いであると思う。
パッケージからも見て取れるように独自の色を出している今作は、決してうわべだけの作りではなく根底からしっかり作り上げられている素晴らしい出来である。探偵というベタな設定に若干の胡散臭さを感じてしまったが、そう思っていた自分が恥ずかしくなるほど世界観構築には一目を置くものがある。「麻野一哉×植松伸夫×たかなししん、これ鉄板になるんじゃねーの?」とまで思った。是非プレイしてみて欲しい。
ということで今回は・・・
ファミ通評価で表すと9、電プレ評価で表すと90 といった感じで。
今作が十字キーと基本4ボタン+R/Lボタンという常識的なコントローラの使い方から脱却した理由は、新たな「操作性」を生み出すことを念頭においたものではない。アドベンチャーゲームであるが故に、新しいプレイ感覚を追求することは、基本的に文を読み進めていく類のゲームでは無意味である。操作性云々という問題ではなくて、PSPを縦にすることによって生まれる最大のメリットは何なのか。それは、「縦長のスクリーンを得る」ということである。元々PSPは、携帯ゲーム機としては規格外のアスペクト比16:9のスクリーンを持っているため、PSP自体のマシンパワーとの相乗効果もあって重厚なストーリーを語るRPGだったり、広大なフィールドを駆け回り敵を倒していく等のアクションと相性がいい。大きなスクリーンを持つということはそれだけゲームに幅を持たせることが出来る。無論アドベンチャーゲームにおいてもそれは例外ではない。
「縦長のスクリーン」がもたらしたものは、今作の作風を決定付けたたかなししん氏によるイラストの全体像表示、そこに尽きる。
今作の公式HPを見ても分かる通り、登場人物のデザインが昨今のそれとは明らかに方向性の違うものである。ゲームというよりは、どちらかといえばファッション誌に掲載されるようなデフォルメされたもの。線の細いすらっとしたスタイル、決して浮き世離れしていない好感の持てるデザイン、ファッション。そんなキャラクターがPSPの縦画面を最大限活用して映し出される様は、見ていてなかなか気持ちがいい。洗練されたイメージがそのままゲームに生きているというか。そして何より緊迫したシチュエーションだとその緊張感に拍車がかかる。横持ちでは実現出来ない縦持ちならではの演出を生み出し、さらにそれが随所に盛り込まれている探偵アクションの面白さの本質にまで迫っているのは見事だ。
■個性的なキャラクターが織り成す秀逸なストーリー展開
一人一人のキャラクター描写が素晴らしく、脇役に至るまで誰一人として空気なキャラがいない。個性的なキャラが多いからといって、崩れることのない見事なバランスで独自の作風を醸しだしている。たかなししん氏によるデザインがゲーム業界においては新鮮という所為もあるとは思うが、それをうまく料理している印象を受けた。特に主人公が属する探偵事務所の職員は強烈なキャラが多く、登場回数が他と比べても圧倒的に多いということもあり印象深い。
キャラ立てに成功しているだけでなく、今作は肝心のストーリー展開も見事である。主人公が持つ目的として、原因不明の失踪をした父と夫を探すというくだりが大筋で、その真相を追究しながらも浮気調査といった探偵事業をこなすことになる。物語は最終的に失踪事件の髄にまで迫ることになり、次々と伏線が解かれていく後半部分にはカタルシスを感じた。まさに怒涛の謎解明パート、今作の核ともいえる超重要シナリオがしっかりとした出来に落ち着いていたことには安心した。
そして、何より今作はテンポがいい。前半部分も決して中弛みせず、見事なバランスを保っている。話の強さでグイグイと読ませる感じ、俺も2日でクリアしてしまった。
■植松伸夫氏によるサウンドの新たな一面
基本的に、俺が植松さんのサウンドはRPG作品のものしか聴いたことがないからかもしれんが、植松さん的にもアドベンチャーというジャンルを考慮してか今までに聴いたことのない音作りがされていて面白い。しかもサウンド自体は相変わらず中毒性の高いものが揃っていて、逆にアドベンチャーというジャンルでよくここまで、いい意味で「聴かせる音楽」を作れるな、と感心した。さすがゲーム音楽業界の巨匠、植松伸夫。この境地にまで達している人だとジャンルなんぞ選ばないんだろう。いや、メディアもか。
■ボリューム不足は否めない
基本的に一周すれば終わりである。攻略パーセンテージなどが設定されているわけでもなく、分岐点を全て回ったからといって何かがおこるわけでもない。いくつかバッドエンドなどもあるが、それを見るのも結局は自己満足の域。何か一つパンチに欠ける気もするが、まあ対象ユーザー(おそらくは女性、それもライトな)などを考えればこれくらいでいいのかもしれない。
■総評
今年一押しのアドベンチャーゲーム。旧型PSPでも問題なくプレイ出来たが、最近新型を手に入れた、なんて人には是非プレイしてもいらいたい一品。最初は縦持ちに若干の違和感を覚えるかもしれないが、すぐに解消されるし何より軽量化された新型なら快適度は段違いであると思う。
パッケージからも見て取れるように独自の色を出している今作は、決してうわべだけの作りではなく根底からしっかり作り上げられている素晴らしい出来である。探偵というベタな設定に若干の胡散臭さを感じてしまったが、そう思っていた自分が恥ずかしくなるほど世界観構築には一目を置くものがある。「麻野一哉×植松伸夫×たかなししん、これ鉄板になるんじゃねーの?」とまで思った。是非プレイしてみて欲しい。
ということで今回は・・・
ファミ通評価で表すと9、電プレ評価で表すと90 といった感じで。
推薦
最終更新: 2007/11/25 日曜日 14:43:00 JST
TPSの入門作として最適, 2007/08/14 火曜日 02:36:33 JST
■カバーアクションがもたらす爽快感、簡略化された操作感
今作を語る上では今作の最大の特徴ともなる「カバーアクション」が欠かせない。Aボタンを押すことにより、キャラクターが近くの物陰に瞬時に隠れることができるという代物で、FPSやTPSで一つのネックとなっていた複雑な操作を見事に簡略化している。例えば、他のFPSゲーなどを見ると、撃つ際の姿勢やキャラクターの立ち回りは全てプレーヤーに委ねられている。これにより自由度や戦略性が増すと同時に、キャラクターを動かすに辺り何とも複雑な操作を要求することになる。要は「慣れ」の問題なのだが、その操作性をマスターした上でのゲームデザインがなされているという意味合いでは、一つの足かせになることは間違いない。そもそもFPSやTPSは、銃の撃ち合いという明確且つ単純な目的が提示されている割に、仲間との連携やヘッドショットなどの要素が絡むことによって難易度の高いジャンルとなっている。奥深い反面、人を選ぶというか。実力の差が開きやすいのもポイントと言える。
そんな常識に風穴を開けたのが、GoWの「カバーアクション」とも言える。無論広大なフィールドの前では、キャラクターの経験から来る如何に相手の裏をつくかという効果的な立ち回りが必要となるわけだが、敵の攻撃を避けるという点ではAボタンを押すだけにより可能となっているため、ここでプレーヤーが考えなければならない要素が一つ消えてくれることになる。まあ今作においては、敵の攻撃を避ける云々というよりも、カバーアクションを使用した上での攻防が大前提となるわけで、そこから如何に敵を倒すかということがプレーヤーの考えなければならない最重要項目となっているため、FPSやTPSが初めてな人には「簡略化された操作感」というものが体感しにくいかもしれない。しかし、触ってみればどのシューティングよりも取っ付きやすいのは明白だし、敵をどのような方法で倒すかという瞬時の判断が要所要所で必要になってくるという意味では、戦略性は高い。そして何よりそこが面白い。
銃による発砲だけでなく、近接攻撃として「チェーンソー」が盛り込まれているのが、先ほどから述べている「敵をどのように倒すか」という判断を下す上でまた選択肢の幅を広げている。敵を一撃で倒せるため、撃破できるという前提では敵の懐に飛び込むのも怖くない。オンラインプレイでどうしようもなく強いプレーヤーとマッチングした場合、最後の手段としてチェーンソーが残されているのも初心者には嬉しいところだったりする。チェーンソーというダイナミックな発想もまたいい。アメリカらしいというかある意味バカっぽいつーか。世界観に合ってるから違和感もないんだろうな。
カバー状態での攻防は、カバーを解いた後の自らの行動が生死の分かれ目となる。その極限の緊張感の中、如何に目前の敵を撃破するか、GoWって言ってみればそこに全て集約されるんだろうな。見事敵を倒せたとき、表現しがたい極上の爽快感が味わえる。これを簡単な操作で実現できるところが、今作が起こした一つの革命ともいえる。開発陣の蓄積してきたノウハウここに極まりって感じか。
■ごまかしのないグラフィック、次世代を名乗るに相応しいクオリティー
ゲームは確実に「実写」に近づいているといういい例。その圧倒的な描写力は、発売から半年以上が経過した今でも他の追随を許さない。多少デフォルメされた部分を含みつつ、遠方に広がる建物までしっかりと描きこまれている様は、Xbox360の中で最高の売上げを残したことをまざまざと証明するに至っている。このレベルの作品を量産するのはかなり難しいだろう。
リアルになった分、フィールドに置かれている物の挙動にも嘘がない。イスに当たればイスは動くし、グレネードを投げれば地面のデコボコに合わせて転がっていく。これは所謂アレか、物理演算ってやつか。実写に近くなった分このようなギミックが取り入れられるのは理に適った話だ。作り手としては大変なんだろうが、ここまで抜かりのない様相を見せ付けられると、超大作と言われる所以が分かる気がする。
一つ注意として、グラフィックの向上に伴い残虐表現がより顕著になったことがある。日本版はある程度規制がかけられているらしいが、だとしても日本製ゲームのそれと比べると、残虐度が上なことは間違いない。チェーンソーで相手に切りかかると、身体が真っ二つになるなんてザラ。その逆ももちろんあるわけで、内容としてはかなりショッキングな映像が含まれている。それを踏まえた上で今作の映像美を堪能して欲しい。この大胆さも洋ゲーの醍醐味なんだけどね。
■愛すべき中二世界観
敵は惑星セラの地底に潜んでいた「ローカスト」。その容姿はまさに醜悪という表現が相応しく、さらには強靭な力を持つ。突如として地上に現れ、人間側の交渉空しく僅か一週間でセラに住む人類の25%を虐殺してしまう。絶体絶命、人類に残された手はもはやローカストの潜む地底を直接叩くという無謀としか言えない方法しかない。そんな中、服役中であるマーカス・フェニックスにも作戦への召集がかかる・・・
といった感じで、「地球人 VS 地底人」という絵に描いたようなベタすぎる世界観。今どきこんな安っぽい設定のゲームがあっていいのかという話だが、思い返してみると最近のスピルバーグ作品にも『宇宙戦争』というものがあった。あの作品が映画としてどうだったのかという議論は今回関係ないので割愛するが、映画にしても漫画にしてもゲームにしても、「人類の脅威となる生命体との壮大な死闘」を描くというのはもはや一つの作法として確立しているように思う。そのベタな世界観を敷いている以上、ストーリーとは別にどのように魅せるのか、どのように引きこむのか、そこが問題となるわけだ。だとするならば、GoWはカバーアクションやら圧倒的なグラフィックやら何やらで、この中二世界観を後押しする感じで見事に昇華させることが出来たと言えよう。
■総評
「ストーリーなんぞ所詮飾りだ、ウダウダ言う前にとりあえずグラフィックに見惚れておけ、そしてプレイしてカバーアクションの気持ちよさを体感しろ、駆け引きを楽しむんだ」という開発陣の声が聞こえてきそうな気がする。実際今作をプレイするに当たってストーリーを真面目に追うのは間違っている、つーかバカらしくなってくる。簡略化された操作性を大いに利用してオフラインでもオンラインでも暴れてやればいい。このアバウトな感覚が逆に開放感があって心地いい。
FPS/TPSを初めてプレイするには最適の一本。入門としてはまず間違いないだろう。経験者にももちろんお勧め、ゲーム性の奥深さはキチンとある間口が広いながらも骨太な作品に仕上がっている。悪い意味での洋ゲーらしさを感じさせない丁寧な作りも日本人には受ける点だろう。
ということで今回は・・・
ファミ通評価で表すと9、電プレ評価で表すと95 といった感じで。
(英語ボイスがない、オンラインに厨が多いなどがマイナス)
今作を語る上では今作の最大の特徴ともなる「カバーアクション」が欠かせない。Aボタンを押すことにより、キャラクターが近くの物陰に瞬時に隠れることができるという代物で、FPSやTPSで一つのネックとなっていた複雑な操作を見事に簡略化している。例えば、他のFPSゲーなどを見ると、撃つ際の姿勢やキャラクターの立ち回りは全てプレーヤーに委ねられている。これにより自由度や戦略性が増すと同時に、キャラクターを動かすに辺り何とも複雑な操作を要求することになる。要は「慣れ」の問題なのだが、その操作性をマスターした上でのゲームデザインがなされているという意味合いでは、一つの足かせになることは間違いない。そもそもFPSやTPSは、銃の撃ち合いという明確且つ単純な目的が提示されている割に、仲間との連携やヘッドショットなどの要素が絡むことによって難易度の高いジャンルとなっている。奥深い反面、人を選ぶというか。実力の差が開きやすいのもポイントと言える。
そんな常識に風穴を開けたのが、GoWの「カバーアクション」とも言える。無論広大なフィールドの前では、キャラクターの経験から来る如何に相手の裏をつくかという効果的な立ち回りが必要となるわけだが、敵の攻撃を避けるという点ではAボタンを押すだけにより可能となっているため、ここでプレーヤーが考えなければならない要素が一つ消えてくれることになる。まあ今作においては、敵の攻撃を避ける云々というよりも、カバーアクションを使用した上での攻防が大前提となるわけで、そこから如何に敵を倒すかということがプレーヤーの考えなければならない最重要項目となっているため、FPSやTPSが初めてな人には「簡略化された操作感」というものが体感しにくいかもしれない。しかし、触ってみればどのシューティングよりも取っ付きやすいのは明白だし、敵をどのような方法で倒すかという瞬時の判断が要所要所で必要になってくるという意味では、戦略性は高い。そして何よりそこが面白い。
銃による発砲だけでなく、近接攻撃として「チェーンソー」が盛り込まれているのが、先ほどから述べている「敵をどのように倒すか」という判断を下す上でまた選択肢の幅を広げている。敵を一撃で倒せるため、撃破できるという前提では敵の懐に飛び込むのも怖くない。オンラインプレイでどうしようもなく強いプレーヤーとマッチングした場合、最後の手段としてチェーンソーが残されているのも初心者には嬉しいところだったりする。チェーンソーというダイナミックな発想もまたいい。アメリカらしいというかある意味バカっぽいつーか。世界観に合ってるから違和感もないんだろうな。
カバー状態での攻防は、カバーを解いた後の自らの行動が生死の分かれ目となる。その極限の緊張感の中、如何に目前の敵を撃破するか、GoWって言ってみればそこに全て集約されるんだろうな。見事敵を倒せたとき、表現しがたい極上の爽快感が味わえる。これを簡単な操作で実現できるところが、今作が起こした一つの革命ともいえる。開発陣の蓄積してきたノウハウここに極まりって感じか。
■ごまかしのないグラフィック、次世代を名乗るに相応しいクオリティー
ゲームは確実に「実写」に近づいているといういい例。その圧倒的な描写力は、発売から半年以上が経過した今でも他の追随を許さない。多少デフォルメされた部分を含みつつ、遠方に広がる建物までしっかりと描きこまれている様は、Xbox360の中で最高の売上げを残したことをまざまざと証明するに至っている。このレベルの作品を量産するのはかなり難しいだろう。
リアルになった分、フィールドに置かれている物の挙動にも嘘がない。イスに当たればイスは動くし、グレネードを投げれば地面のデコボコに合わせて転がっていく。これは所謂アレか、物理演算ってやつか。実写に近くなった分このようなギミックが取り入れられるのは理に適った話だ。作り手としては大変なんだろうが、ここまで抜かりのない様相を見せ付けられると、超大作と言われる所以が分かる気がする。
一つ注意として、グラフィックの向上に伴い残虐表現がより顕著になったことがある。日本版はある程度規制がかけられているらしいが、だとしても日本製ゲームのそれと比べると、残虐度が上なことは間違いない。チェーンソーで相手に切りかかると、身体が真っ二つになるなんてザラ。その逆ももちろんあるわけで、内容としてはかなりショッキングな映像が含まれている。それを踏まえた上で今作の映像美を堪能して欲しい。この大胆さも洋ゲーの醍醐味なんだけどね。
■愛すべき中二世界観
敵は惑星セラの地底に潜んでいた「ローカスト」。その容姿はまさに醜悪という表現が相応しく、さらには強靭な力を持つ。突如として地上に現れ、人間側の交渉空しく僅か一週間でセラに住む人類の25%を虐殺してしまう。絶体絶命、人類に残された手はもはやローカストの潜む地底を直接叩くという無謀としか言えない方法しかない。そんな中、服役中であるマーカス・フェニックスにも作戦への召集がかかる・・・
といった感じで、「地球人 VS 地底人」という絵に描いたようなベタすぎる世界観。今どきこんな安っぽい設定のゲームがあっていいのかという話だが、思い返してみると最近のスピルバーグ作品にも『宇宙戦争』というものがあった。あの作品が映画としてどうだったのかという議論は今回関係ないので割愛するが、映画にしても漫画にしてもゲームにしても、「人類の脅威となる生命体との壮大な死闘」を描くというのはもはや一つの作法として確立しているように思う。そのベタな世界観を敷いている以上、ストーリーとは別にどのように魅せるのか、どのように引きこむのか、そこが問題となるわけだ。だとするならば、GoWはカバーアクションやら圧倒的なグラフィックやら何やらで、この中二世界観を後押しする感じで見事に昇華させることが出来たと言えよう。
■総評
「ストーリーなんぞ所詮飾りだ、ウダウダ言う前にとりあえずグラフィックに見惚れておけ、そしてプレイしてカバーアクションの気持ちよさを体感しろ、駆け引きを楽しむんだ」という開発陣の声が聞こえてきそうな気がする。実際今作をプレイするに当たってストーリーを真面目に追うのは間違っている、つーかバカらしくなってくる。簡略化された操作性を大いに利用してオフラインでもオンラインでも暴れてやればいい。このアバウトな感覚が逆に開放感があって心地いい。
FPS/TPSを初めてプレイするには最適の一本。入門としてはまず間違いないだろう。経験者にももちろんお勧め、ゲーム性の奥深さはキチンとある間口が広いながらも骨太な作品に仕上がっている。悪い意味での洋ゲーらしさを感じさせない丁寧な作りも日本人には受ける点だろう。
ということで今回は・・・
ファミ通評価で表すと9、電プレ評価で表すと95 といった感じで。
(英語ボイスがない、オンラインに厨が多いなどがマイナス)
推薦
最終更新: 2007/08/14 火曜日 12:46:11 JST
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