| 煉獄弐 The Stairway to H.E.A.V.E.N. |
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| 2006/12/20 水曜日 13:21:07 JST | |
終わりのない戦いを繰り返す孤独なアンドロイドの姿を描く、PSPオリジナルタイトル・アクションRPG『煉獄』。その続編。開発はコアなゲーム作りでマニア人気の高いネバーランドカンパニー。 見た目は地味だがその内容は前作から驚くべき進化を果たしている。PSPを背負って立つ屋台骨の一つとなるか。 *概要・システム ゲームシステムは至ってシンプル。襲い掛かる敵をとにかく倒して倒して8階層(+0階)からなる煉獄の塔の最上階を目指す。 各フロアは複数の部屋によって構成されており、その内の幾つかのランカールームと呼ばれる部屋にいる中ボスを全て倒すことでその階の大ボスの待つ部屋へ通ずる転送装置が使用可能になる。 マップは前作ではランダム自動生成式を採用していたが、今作では原典であるダンテの「神曲」に因んだ7つの大罪をテーマにした個性的なステージ構成が採ら れている。マップが毎回変わる新鮮味(と言っても同じような部屋が繋がる構成だったので言うほど新鮮味はなかったが)はなくなったが、どのフロアも特徴が あって面白い。個人的お気に入りは4階「怠惰」の階の強制移動床ゾーン。高速で回転強制移動するベルトフロアに乗ってサイバーな肉弾バトルを戦っている と、「銃夢」のモーターボーラーになった気分だ。 倒した敵は武装カプセルやエリクシルスキンなどのアイテムを落とすことがあり、それぞれ各階1箇所あるターミナルで装備・パラメータの強化に使用すること が出来る。装備の数は300種類以上。装備した武器でちゃんと見た目が変化するのが芸が細かい。頭に刀を生やしたり腹に大砲を付けたり。好き勝手に変態 チックなカスタマイズが出来るのが本作の楽しみの一つ。また見た目だけでなくアクション自体も大きく変わるので、拾った武器はすぐに試したくなる。戦闘→ 武器ゲット→新しい武器を試す為に戦闘→また新しい武器ゲット→また試す為に戦闘…の永久ハマりスパイラル。 加えて、今回コンボ(連続攻撃)が明確に決まり易くなっているので、その組み合わせを探すのも楽しみ。前作では素体(丸腰の初期状態。倒されると装備して る武器をその場に残して0階まで落とされる)状態からは左右パンチぐらいしか出せなかったが、今作では左裏拳→頭突き→右アッパー→鉄山靠(!)と決まる ので、素体の状態でも案外イケる。素体プレイというやり込みプレイも結構面白そうだ(かなりムズそうではあるけど)。 武装は今回装備中のものに限りその場で任意で(ターミナル外、弾切れ・オーバーヒート関係なく)切り替え可能になったので、戦闘の楽しみとカスタマイズの 戦略性が格段に上がった。コンボ重視で行くか、遠隔攻撃重視で行くか、バランス型を目指すか。ジャマーや熱上昇、プロパティ(追加効果)値の高い武器でじ わじわ攻めるか、一気に殺るか。パラメータ育成も攻撃力を強化するか、防御力を強化するか、スロット数を増やすか、耐熱値を上げるか。どれを優先するかが 悩ましい。その生き残りのための試行錯誤が楽しい。 ストーリーは多くを語らず、幕間(フロア間)に止め絵と少な目のテキストで語られるのみ。ベアトリーチェ、ヴェルギリウスなどの固有名詞、七大罪を模した ステージなど、「神曲」オマージュの色は強まっているが、あくまでゲームを終局に向かわせる大局的な流れ付けのためのものなので、物語性の強さには期待し ない方が良い。それより、百万遍の血で血を洗う(アンドロイドなので血は出ないが)バトルの方がより雄弁に物語るだろう。 全ての階を制し塔を登りつめ、シナリオモードをクリアした後、新たなモード「H.E.A.V.E.N」が姿を現す。全100階からなるエリアは3つに分か れており、それぞれ異なったルールでシナリオモードとは一味違うシビアな戦いを強いられる。アイテムドロップ率も高くなってコンボも繋がり易くなって楽勝 だぜこんなの煉獄じゃなくて天国だぜハッ!などと豪語する、血の気の多いコアでヘビーな煉獄ジャンキーはこのモードで文字通り天国に逝くがよろし。 *グラフィック・音楽 前作からの進化ぶりが著しい本作だが、とりわけグラフィックの進化は凄い。陰鬱な閉鎖空間が舞台なのは同じだが、全体的にカラフルになった。光と影の演出 が素晴らしく、陰鬱なのにどこか美しく閉鎖的なのに開放感を感じるほど。キャラクターもより大きく表示され、カメラの位置も弱冠視点が下がって戦闘の迫力 が増している。 各種エフェクトの懲り方も半端じゃない。電撃やビーム、炎などの表現、斬り結んだ時の火花、弾丸を弾いた時の火花。暗いベースのグラフィックの中に映え る。敵の攻撃をまともに食らってキリモミでぶっ飛んでもんどり打ちながら火花を散らしながら地面を転がりつつも「格好ええ~」と思わず見蕩れそうになるほ ど。 キャラクターデザイン、アートワークは前作と同じく末弥純氏が担当。氏の描く独特のタッチが作品世界の構築の大きな位置を占めている。音楽の方は陳光榮と いう映画音楽などを手掛けている香港の作曲家が担当されている。名前は存じ上げないが、メタルサイバーでコアな曲調がゲームの雰囲気ともよく似合ってい て、格好良い。 *操作性・遊び易さ 操作性の向上にも目を見張るものがある。とにかく動きが抜群に良くなっており、前作とはほとんど別物。ハイスピードアクションは伊達じゃない。サクサク動 いてバシバシ攻撃が当たる。一部操作が暴発し易い面もあるが、慣れれば許容範囲。アクション自体の格好良さも上がっており、またオーバーキル(敵を倒して 消滅するまでに攻撃を当てること。アイテムの出現率が上がる)も狙い易くなっていて、爽快感はかなり上がっている。何気にカメラリセットが振り向き動作に 替えられてるのも地味だがミソ。 画面レイアウトなどもすっきり見易く、分かり易く。STARTで全体マップが見れるようになったのも良し。セーブや育成、装備などはターミナルでしか行えないが、転送装置が適度に配置してあるので問題なし。中断セーブがないのはスリープで対処。 ロードの方は前作でもかなり早い部類だったが、今作はもっと早い。ソフトの起動時に一括ロードを10秒程度。後はフロアの移動時に3秒程度入るくらいで、 各ルーム間の移動、メニューの開閉時などのロードのストレスは皆無と言って良い。ソフト起動時のロードもUMDを入れ替えるor電源を落とさない限りない し、フロア移動時のロードも(倒されて落とされない限り)フロアクリア毎の数10分から数時間に1回しかない。スリープ使って遊んでる限り実質ストレス完 全フリー。この快適なプレイ感はPSPというハードの認識を一変させるのに十分。ハードの弱点はソフトでカバーし得る(限度はあるが)という良いお手本だ ろう。グッジョブ、ネバーランドカンパニー。 *雑感まとめ キャラクターを育て強くする上昇感と自分の操作能力が上がって行く上昇感、端的に塔を登る上昇感の3つの上昇感による高揚と、シンプルな反復を作業と感じ させない快適な操作性とゲーム性。一見倒せなさそうに見えるボスも、武器の選択と戦法次第で勝負になる攻略性の高さと自由度。 前作でもその面白さの基礎となる部分は確立していたが、荒削りであったために伝わる人にしか伝わらなかった。その荒削りだったところに磨きをかけ、全ての 要素において確実に前作を凌ぐ仕上がりとなっている本作の完成度の高さに驚嘆する。ある意味これが『煉獄』の完全版だろう。万人に薦められるソフトではな いかも知れないが、アクション好きなら試す価値はある(前作を諦めた人も)。 PSPというハードはDSのように分かり易いハード的特徴(ギミック)がある訳でなく、中々PSPらしい・そのハードならではを思わせるソフトを作ること は難しそうに思う。オリジナルタイトルの場合とみにそうで、ともすれば「PS2で出せば良いじゃん(PSPで出す意味が何処にあるの?)」ってな印象に終 わりそうになるが、本作をプレイするとその“PSPらしさ”とはどういうことなのか、答えの端緒が見える気がする。 例えばいつでも始めてちょっと遊んですぐに終われる(中断出来る)携帯ハードであることを十二分に意識したデザイン、快適である上に美麗なグラフィックと か迫力あるサウンドとか。快適でさえあれば(快適さと両立出来さえすれば)それらはPSPの大きな武器になるもの。手のひらで炸裂する画面の迫力は他では 替え難いPSPならではの魅力であることを再認識する。シェアリングによる対戦プレイ、ダウンロードを利用したデータの追加が手軽に行える(無線LAN環 境に限る、が。有線接続からのメモステ経由のアップデートにも対応して欲しい)のもPSPの利点の活用だろう。 PSPという新しいハードでハードを活かすソフトのあり方を模索し、全く新規のタイトルでそれなりな結果を出し、1年3ヶ月という短い期間でそれを遥かに上回る出来の新作をリリースして来たことはお見事と言う他ない。 惜しむらくはいまいち盛り上げ下手なところだろうか…みてくれの地味さは如何ともし難いが、例えばデータ配信をもっと密にするとか、サイトと連動した動きをもっと細やかに行うべき。60万本出荷した『モンスターハンター ポータブル』が良い見本になるだろう。せっかくデータの追加がし易いようなゲームデザインなのであるから(この辺りはSCEがもっと積極的であって良い気はするが…いまいちやる気ないんだよな)。 そして願わくばオンライン・パンクラチアムモードの実現を。インフラストラクチャーモードに対応させていながら、サイトの接続だけでは勿体ない。Wi-Fiのような手軽に通信を行えるシステムの確立をSCEに早急にお願いする。 煉獄弐 The Stairway to H.E.A.V.E.N. 煉獄 ポータルサイト しば/ナチュラルボーンゲーマー |
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